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オーストラリアで釣った魚の写真集です
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バラマンディー等のタグ&リリースの現状そしてその方法              (ソルトワールド誌vol.46掲載)
   
電撃バリバリボート
目を廻したバラたちはタグを打たれる

 ここではバラマンディーのタギングの方法をお伝えします。それもアングラーによる"釣れたらタグ"ではなく、タグを打つために捕獲をするというより積極的な方法です。これは政府による所轄団体で日本の農林水産省にあたるQDPI(Queensland Department of Primary Industry : 通常ディーピーアイと呼んでいて直訳すると第1次産業省となる)という政府機関によるものです。
 以前、このディーピーアイはバラを獲る為に、刺し網(網の目5cm四方程度)を用いていました。ところが、この刺し網はバラばかりでなくその他多くの魚たちも獲ってしまい、ましてや、網自体により魚体を傷つけ殺してしまう事が多々あったそうです。ディーピーアイたるものが無意味に魚を殺してどうする!? という立場から考案されたのがなんと日本ではと〜て〜考えられぬ電撃ショックによる魚の捕獲です。それはどういうことか? ボートからエレメントと呼ばれる2つの電極をボートの前方よりそれぞれのアウトリガーの様な棒の先から垂らし、そのエレメントを水中浅く接触させておきます。そして、ボート内に設置された発電機から発生された高電圧(約2400v)をそのエレメントを通し水中に放出させます。その高電圧によりショックを受け筋肉の麻痺したバラ(だけでなく魚でも何でも)は腹を上にして浮上してくるという次第です。
 当初、試験段階ではその電力の調整がわからず、ずい分多数の魚たちを電気椅子であの世に送ったそうですが、すぐに調節が測られ電撃範囲内を3mと見定められました。つまり、ボートから3m以内の魚は気絶するだけで済むように電力の調節が図られたということです。また逆に、3m以遠の魚には効かないと言う事になります。言い換えると深さ3m以上の場所ではボトムの魚を捕らえる事はできないという事です。しかし、今度は深いからといって電力を上げるとボートから至近距離の魚は死んでしまいます。ここがむずかしい。
このボートを用いて魚のいそうな所をバリバリ電撃加えながら(本当はバリバリ言う訳ありませんがイメージイメージ)ゆっくり走ります。そうすると、気絶した魚がボートの後ろにプカリプカリと浮いてきて、これをタモですくいボート内ですばやくタグを打ち、また水に還してあげます。その後水面に浮いている魚は数分すると自然に気絶から目が覚めそれこそ気がついたようにまた川底の方へタグを背負いながら泳いで帰っていきます。-------- 嘘のような本当の話。しかし、オーストラリア人の考え方はダイレクトです。まァ、いい時もあるし悪い時もあるけど。

<以下、実話>
 昔々、ある日あるバラガイドがお客さん連れてケアンズ南の河で釣りをしていました。風が強い冬の寒い日でガイドも後で言っていましたが、"こんな日それこそ魚なんて期待するな!"ジョータイ。朝から釣り始めても何も起こらず、時間は勝手に過ぎ去りすでにお昼。ランチを食べ、またそろそろ流しながら行こうかと思った時、そこに現れたのが電撃バリバリボート。
 ところで、このガイドはもとディーピーアイに勤めていた経験もあり、興味も手伝って気軽にその船頭に話しかけた。ひとしきり、話も終わった後、この電撃ボート船頭が"んじゃ"っと一声、ひとつここを探ってみようという話になったそうな。そこは今までランチを食べていたところであり、ランチ場になる前はルアーを投げに投げまくり疲れ果てても1匹も、それこそ何の魚の反応が見えなかったところ。形状は河の下流に向かい右コーナー出口の右側(いわゆるバックウォーターになり日本風にいうと反転流)で水流も穏やかでウィードベッドがあり、いかにもバラいっそ〜〜状態の場所。距離---40m。発電機が回り始め、エレメントが水中下ろされる。そして、電撃ボート船頭からの大声一撃! "絶対に自分のボートから水ん中に入るな!" 当たり前だ。誰が好き好んで自分から電気椅子に乗るか!                    
 電撃バリバリボートはゆっくりバリバリいいながらエレメントから湯気立てながら(イメージイメージ!)走る。そしてそのボートの後を興味深げに目で追うガイドとお客さん。1m、そして、1m。進むごとにただボーッと見てた彼らの目の瞼は徐々にその直径が広がっていき、そしてまたアゴは落ちていく。最後はとうとう横バー眉毛に目はドット。ボートの後ろには腹を上にした魚体がプカ〜リプカ〜リ。電撃ボート船頭は仕事の延長と変わらずの様子でプカプカ浮いてくる魚を一生懸命タモですくい上げボート内の生簀に入れてタグを打ち始める。
 全部で何匹って? バラマンディー様 総勢 : ニジュウ と ナ.ナ. 匹!
見てるとあまりの数の多さにタモですくい上げ損ねたバラが水流により流されて行ってしまう。瞬間、"お前らも手伝え!"と檄が飛ぶ! 我に返る2人は自分たちもタモを使いすくい始める。集めたバラを電撃ボートに移し、手早くタギングして放流する。この時すでに最初に水に返したバラは正気に戻り、何事もなかったように棲家に帰っていっていた。
十数分後、一仕事終わった電撃ボートは、そのまま上流に上って行き、残されたバラボートはそのまま下流に向かって力なく流されながら釣りを続行。
釣ってもないのに多くのバラにサワレテうれしいお客さんと立場のないガイド。でも言い換えればガイドが選んだポイントは決して魚のいないポイントであったわけではなく〜、実際に魚はいたわけで〜、魚はただルアー喰ってこなかったんで〜、天気が悪いし冬だから〜 ------という言い訳じみた論法がガイドの頭の中をグルグル廻っているのがハッキリ見えたお客さんでした。ちなみに教えちゃいます。このガイド君はGTで有名なK君でした。

 この様に、クィーンズランド州では魚をタギングするために捕獲するという行為が日常茶飯事に行われています。そのためにも魚を傷つけずに捕獲する方法がいろいろ考え出されてきましたが、現在では電撃方法が最良とされ各所で利用されています。ケアンズから内陸部に2時間ほど車で入ったところにティナルー湖(世界記録あり)というリザーバーがありますが、ここはデカバラがたくさんいて有名です。ここでも電撃方法が定期的に用いられ、最近最大100ポンドを超えるバラマンディーもタギングされたそうです。
水深3m以内であれば何がいるか手にとるように分かるこの方法、日本での活用は? 
やっぱ冗談でなく、危険極まりなく、不可! は間違いないでしょうね。

 



 
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